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         御法主上人猊下御指南

     
創価学会秋谷会長外十二名の連名による質問に対する回答・教示
 
                                      
 ( 正本堂の意義の教示

 宗祖大聖人は、その御一期の大事、御化導の究極として、『三大秘法抄』『一期弘法抄』に、御遺命の完結、広宣流布の大目標をお示しあそばされたのです。我々は、その大慈大悲を拝し、真の仏子として、自行化他、随力弘通、もってひたすら御遺命達成の大目標へ向かって進むべきであります。

 更に、正本堂の意義に関し、述べておくことがあります。

 それは、日達上人より池田大作に授与された賞与御本尊のことです、その脇書には、「賞本門事戒壇正本堂建立四十九年一月二日」と認められ、更に池田氏の強い要望があって認められたと記憶する裏書に、「此の御本尊は正本堂が正しく三大秘法抄に御遺命の事の戒壇に準じて建立されたことを証明する本尊也 昭和四十九年九月二十日 総本山六十六世日達 在判」とあります。

 脇書の中の『事の戒壇』とは、前来述べる日達上人御指南のごとく、現事における事の戒壇であり、したがってその意味は本門戒壇の大御本尊を正本堂へ奉安する故です。また、裏書では、一往『三大秘法抄』の事の戒壇のようにも取れますが、「準じて」の字よりすれば、やはりただちにそのものを表わす意ではないと拝します。
 この「準じて」とは、特に日達上人の御意志として書かれたのです。辞書によれば、この「準」の字の意には、たいらか、のり、ならう、なぞらう、のっとる、ひとしい、おしはかる等があり、更に准と擬の字に通じるとあります。したがって、この文字の最も通常的な用法では、なぞう、なぞらう、であり、すなわち本物に準ずる、あるいは似つかわしい、似ているとの解釈が一般的であります。故に、この文は、「正しく三大秘法抄の戒壇になぞらえて建立する」との意味です。つまり、「準」の字は、やはりそのものが将来、
ただちに『三大秘法抄』の戒壇となるとは断定できないことを示されたものと拝します。

 その理由として、もし正本堂が広宣流布の暁に、ただちに『三大秘法抄』の戒壇となると思われたならば、特に「なぞらう」「似つかわしい」等の意味をもつ「準」の字をわざわざお書き入れになるはずがなく、「此の御本尊は正本堂が正しく三大秘法抄に御遺命の将来における事の戒壇として建立されたことを証明する本尊也」と認められたと思います。

 以上、正本堂の意義に関し、一宗を教導する法主として申し述べ、教示とします。

 なお、最後に(4)において、池田名誉会長が、昭和43年10月、「本門の戒壇たる正本堂」と明言したことに対して、未だに訂正も反省もないと要求するの筋が通らないと主張していますが、このことは、すでに本書5頁において指摘済みです。47年4月の訓諭によって、
正本堂法要の直前、和泉理事長が『聖教新聞』紙上に訂正発表をした理由を、よく考えるべきであります。
 
 全ては、時日の経過によって風化させてしまえばよいと考え、他人の真摯な反省も茶番劇と嗤う無慚さを憐れむものであります。
                                     以上
         平成三年三月九日

                     (上記科段は、便の為当サイトで添加

 
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