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                    権力者の心理学 
                    
                   第一章 指導者の心理学 
                     10 指導者がもつサバイバル遺伝子 
                   
                       後継者がハマリやすい二つの型 
                   
                   (略) こういう場合、後継者となるべき人物の取りがちな心的態度としては、第一の型として、対人的不信感から人間嫌いにおちいり、自分の趣味や、場合によっては信仰に耽ったり、とにかく周囲に壁をつくって
                  たてこもろうとすることであろう。 
                   第二の型としては、自分の周囲に気の置けない取り巻きをつくり、その中だけで自由にふるまうということである。 
                   
                   人間がこの状況に置かれた時、自然に自分の本性のままに行動すれば、このふたつの行動の類型のどちらかに帰着しそうである。 
                   それを克服して、公平な、あるいは意志的な政治家ないし経営者像に到達するためには、ある程度、意図的な「帝王学」の教育が、幼少期から施されるか、あるいは兄弟間の競争や、父子のあいだの葛藤や、父−母−子の三角関係が
                  本人をスポイルすることなく続き、後継者を強靱な、あるいは「練れた人格」に育てあげている
                  というのでなければならない。 
                   
                   ところで、上述のふたつの類型のどれになるか、ということでは、生得の、むしろ体質的なものが重要な要素を占めていることに気づく。第一の型に親和性が深いのは、なんといっても、細長型の体型で、心身ともに無力的な、いわゆる分裂気質者という類型に属するからであろう。 
                   こういう人たちは心身ともに敏感で、内向的なので、自分の周囲に集まってくる人たちの底意が見えすいて、耐えられない。それに政界や実業界に多い、脂ぎった、闘志満々の、筋肉質の人たちには
                  本能的に威圧感や嫌悪感を感じるので、ますます自己の城壁にたてこもりがちになる。(略) 
                   
                   しかし、どういう気質の人物であっても、それなりに、その気質に応じて、相応した経営者のタイブをつくりあげることは、教育によって可能であるはずである。細長型で分裂気質の人を、客観的で、公平で、禁欲的な経営者のタイブに仕立てあげることも
                  できるはずである。 
                   そのために必要なことは、初代が早目に息子の性格を見抜いて、信頼し得る「番頭」的な人物に教育を託したり、あるいは無関係な企業や、他の職種で「横並び」の対人関係に馴れさせて 生活経験をもたせるという配慮も必要である。 
                   
                   それをしないでおいて、後継者のライバルになりそうな、有能な人物を排除するという試みは、いくら行っても、それは無駄である。 
                   血縁を越えた、国家なり、選挙区なり、企業なり、上位の集団の生き残り戦略から見れば、それはむしろ反共同体的である としかいえないように思われる。 
                   
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