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    御 慶


 昭和三十四年元朝の御慶を申しのべます。

 日蓮正宗近時の宗勢進展は、洵に日本仏教史上にもない出来事でありまして、広宣流布を願行として七百年来、苦難の道を歩ゆんできた吾が宗としては、只々慶賀にたえない次第であります。

 此処数年来、本山大石寺は勿論・末寺寺院の元朝勤行は、広宣流布の暁はかくもあろうかと思う程の盛況さであります。

 この元朝勤行とても、宗勢が発展した今日思いつきで執行されたというのでは勿論なく、二祖日興上人が宗祖大聖人の
御遺命を奉じて、国立戒壇を念願されての広宣流布祈願の勤行を伝えたものであります。
 大石寺大坊の棟札に「
修理を加え丑寅之勤行怠慢なく広宣流布を待つ可し」とあるのが、これであります。

 由来ものが大をなせばなす程、その根源を尋ねるのが人情であります。今、元朝に当つて往時を思いますと、二祖日興上人は、大聖人さまの法燈をつぐこと峻厳に少しの妥協も許るさず、その遺風・蕊に七百年、些さかの謗法のにごりもありません。
 嘗は非妥協牲が、宗門の発展をそがいするやう批評された時代もありましたが、日本仏教界が全くその独自性と純粋性を失つた今日では、日蓮正宗が大をなす由縁は、興尊上人の
純粋性と非妥協性にあると申しても差しつかえがありません。

 一年には一年の工夫ありという言葉がありますが、どうか宗内緇素各位におかれては、益々勇猛精進されて、
日蓮正宗の純粋性を確守して、広宣流布を願望する元朝の勤行の精進を持つて、一年をつらぬかれんことを願うものであります。


                             昭和三十四年元旦(大日蓮)



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