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文化は宗教を必要とするか ( 現代の宗教的状況 )
プロローグ 弁証学としての文化の神学
( 世俗化という概念 )
(略)近代以後の世界を「世俗化された世界」と呼ぶことは、今日では当然のことと考えられている。
「世俗化」という概念はきわめて曖昧な概念であるが、同時に現代のさまざまな現象がこの概念によって説明されてもいる。
ある場合には世界における聖なるものの喪失、あるいは宗教的な行為への参与の衰退が世俗化と呼ばれているし、またある場合には社会制度の脱呪術化を世俗化と呼んでいる。
もっとも「世俗化」( secularis )という概念の定義は歴史的にははっきりしており、一六四八年のウェストファリア条約の際に、教会領の世俗君主への移行を意味する用語として用いられた。またその後は聖職者がその身分を失い世俗の職を得るような場合、すなわち修道士の請願の免除を意味するようになった。
それ故に「世俗化」はH・リューべによれば、元来「聖なるもの」と「俗なるもの」との関係を意味していたが、それが次第に両者の「区別」という価値判断をともなう概念となったと言うのである。それによって「世俗化」はきわめて論争的な概念となってしまった。
(句読・改行等、便の為に当サイトにて添加)
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