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     非営利組織の経営 原理と実践
  ( Managing The Nonprofit Organization )

[V部]成果をあげるためのマネジメント
--- 成果をどう定義するか、どう評価するか


 3章 --- 成果をあげるための意思決定

     
反対意見の必要性

 私の見る限り、第一級の意思決定者というものは、フランクリン・D・ルーズベルトをはじめ、皆、きわめて簡単な一つのルールをもっている。すなわち、重要な事項について全員の意見が一致しているときには、決定をしないというルールである。
 そのようなときは、決定を次回に回して、皆に考える時間をもたせるようにする。

 重要な決定というものは、リスクの大きいものである。そうであれば、激論があってしかるべきである。全員が賛成するということは、誰も十分に考えてこなかったということである。
 何の問題についての決定であるかを理解することが、有効な意思決定には不可欠である。したがって、反対意見や不同意の意見がなければならない。全員一致で決まるということは、問題の本質をとらえないまま、上辺の現象だけで決しようとしているということである。

 何が正しいかを議論するのではなく、どの答えも正しいと見るべきである。しかし「それぞれは、どの問題に答えようとしているのか」。そこから、問題への理解が得られる。また、多くの場合、そこから異なる意見を統合することができる。
 反対意見は、相互の理解と敬意をもたらすものとしてとらえるべきである。意思決定が裏目に出ると組織が危機に瀕するとか、容易に取り返しがつかないという場合には、どうしても皆の感情が高ぶる。そのようなときこそ反対意見を、建設的なものとして、相互理解をもたらす鍵として遇することが賢明である。

 反対意見や不同意の意見を、何が問題であるかについての共通の理解をもたらす手段として利用することができれば、そこから連帯感と責任感をつくり出すこともできる。
 この点は非常利機関にとって、とくに重要である。企業に比べ非営利機関では、全員が大義を奉じているだけに、内部対立がずっと起こりやすいからである。意見の不一致は、たんに“あなたの意見対私の意見”という問題ではなく、“あなたのよき信念対私のよき信念”の問題である。非営利機関は、不和や不信から行き詰まるようなことがあってはならない。意見の不一致はそれをオープンにしたうえで、正面から取り上げなければならない。

 反対意見を歓迎するもう一つの理由は、どのような組織でも反体制派を必要としているからである。事態が変わろうとしている場合には、喜んで変えようとし、変えることのできる人物が必要である。イエスマンだけを重用してはならない。此判者・それも組織として、尊敬に値する批判者が必要である。
 また、意見の不一致をオープンにすることによって、非営利機関のトップは不必要で無意味・かつ些細な争いを、払いのけることができる。そして本当に取り組むべき問題に、集中することができる。オープンにするだけで、大半の不一致は解消する。

                        上記科段は、便の為に当サイトにて添加

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