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       権力者の心理学

 第一章 指導者の心理学
  
5 権力、財力が「父と子」を狂わせる

     権力者の父子問題

 (略){
北朝鮮における }これらの事件の場合、それが成功した場合の国益と 失敗した場合の損失とが釣りあっていないのが特赦であり、実際にそういうことがなされたのかどうか、疑いが生じるのであるが、もしこういうことが本当になされていたのなら、政策決定にあたって、異議や良識というものが一切働かない体制ができあがっているとしか言いようがない。

 つまりこの国では
何を言っても無駄だ、やりたいようにさせるしかないと 党なり政府なりの大多数の人たちが投げだしてしまっている という疑いが もたれるのである。

 この場合、金日成氏の長男である 金正日氏の名前が、テロリズムの発案者、あるいは中枢として語られるのは何故であろう。
 第一にそれは、社会主義国としては一見していかにも無理な 指導者の世襲を好まない内部からの声の存在を疑わせ、第二に、それは「偉大な首領」である父の
後継者に指名された息子のあせりと 取り巻きの暴走という疑いを生じさせる。

 金日成・金正日父子のような極端な例ではなくても、政治家、財界人のような巨大な権力や財産が世襲される場合には、父子問題は深刻で重大な影響を企業や国家に及ぼすのである。(略)

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