年頭の辞
御照覧直下の戦い
冨士大石寺顕正会 会長 淺井昭衞
末法濁悪只中の日本に、百万の清き仏弟子の大集団が出現した。世間の人々は、まだ誰もこの意義を知らない。 この集団は、正系門下において国立戒壇の御遺命が破壊されんとするを見て、諌め、ために苛酷なる解散処分を受けた。
しかし御本仏への忠誠の念いは片時も失せず、ますます死身弘法に身を挺し、ついに解散処分より二十九年を経て、百万の弘通を成し遂げた。 時あたかも旧暦の十月十三日であった。まさしく大聖人様が、手を引いてこれを成さしめ給うたものと、拝するのほかはない。顕正会はここに、大聖人御馬前の法戦場に到達したのである。
大聖人の御心は、早く日本国の一切衆生に三大秘法をたもたしめ、人々を仏に成さんとするにあられる。 しかるに日本の人々は、御在世には御頸刎ね奉るの大逆罪を犯しながら、七百年を経てなお御本仏を無視軽賎している。この罪は「用いずば国必ず亡ぶべし」に当る。 また門下は一同に、国立戒壇建立の御遺命に背いて恬として愧じない。これ「悪しく敬はば国亡ぶべし」に当る。 この二悪のゆえに、日本はいま亡びんとしているのである。
このとき「日蓮大聖人に背く日本は必ず亡ぶ」と全日本人に告げ、一国を諌める戦いこそが、御馬前の法戦である。
戦後六十年、日本は国防をアメリカに委ね、自らは安逸に浸りきってきた。平和ボケの日本人は、この国に危機が迫っていることに気がつかない。そのさまはあたかも火宅にあそぶ子のごとくで、「覚らず、知らず、驚かず、怖じず」(譬喩品)の無邪気さを示している。
だが、人心荒廃した日本の前途には、すでに国家破産と巨大地震が待ち受けているではないか。そして他国侵逼の影も迫りつつある。核と生物・化学兵器を持つ北朝鮮は、いつ暴発するかわからない。また自衛隊のイラク派遣を見て、国際テロ組織は日本中枢へのテロをほのめかしている。彼ら一流の脅しではあろうが、その可能性は充分にある。
油断だらけ隙だらけの日本ほど、狙いやすく効果の上がる国はないのだ。もし生物兵器などによる静かなるテロが国内で発生すれば、日本は瞬時にしてパニックに陥り、経済活動も崩壊しよう。それほどにこの国は脆い。まして大地動乱ののちの本格的他国侵逼が起きたらどうなるのか。「其の時何か為んや」の仏語が身に遣る。
すでに日本は一閻浮提大闘諍の大渦に巻きこまれつつあるのだ。この国を救うのは、御本尊のお力によるの外はない。ゆえに新尼抄には「諸人皆死して無間地獄に堕ること雨のごとくしげからん時、此の五字の大曼荼羅を身に帯し心に存せば、諸王は国を扶け、万民は難をのがれん」と御教示あそばす。
このことを、仏様の使いとして一国に知らしむる戦いをなすものは、顕正会を除いてはあるべくもない。百万の地涌の流類は、このために出現したのである。
御照覧直下の戦いであれば、大聖人様は顕正会の一挙手一役足をご覧あそばす。この御奉公に身命を捨てて、何の悔いがあろうか。
さあ、百万の地涌一結して、勇躍歓喜、大事の御奉公に立とうではないか――。
平成十六年元旦