年頭の辞
広布前夜の自叛・他逼を見つめよ
冨士大石寺顕正会 会長 淺井昭衞
「仏法は体のごとし、世間は影のごとし。体曲れば影ななめなり」(富木殿御返事)と。
日蓮大聖人の御遺命とは、広宣流布の暁に、国家意志の表明を以て、富士山に建立される国立戒壇である。このことは御付嘱状および三大秘法抄に、天日のごとく明らかである。
しかるに、この御遺命成就に身を捨てて戦うべき正系門家が、なんと、「国立戒壇」を否定して偽戒壇・正本堂を建て、これを御遺命の戒壇と偽ったのだ。
なぜこのような大それたことが起きたのか――。
それは、政治野心に燃える池田大作が、世間に抵抗多き国立戒壇を忌み嫌い、そのうえ池田に諂う宗門の貫首が、この大誑惑に協力したからである。
かくて、池田大作は正本堂発願式において「夫れ正本堂は末法事の戒壇にして、宗門究竟の誓願之に過ぐるはなく、将又、仏教三千余年史上空前の偉業なり」(発誓願文)と、自らの悪事をかえって自讃した。
これを承けて、宗門の貫首・細井日達は「此の正本堂が完成した時は、大聖人の御本意も、教化の儀式も定まり、王仏冥合して南無妙法蓮華経の広宣流布であります」(大白蓮華二〇一号)と支離滅裂の諂いを述べた。
これを見て宗門の全僧侶は先を争うように諛言を並べ立てる。その一例を挙げれば「正本堂建立は即ち事の戒壇であり、広宣流布を意味するものであります。この偉業こそ、宗門有史以来の念願であり、大聖人の御遺命であり、日興上人より代々の御法主上人の御祈念せられて来た重大なる念願であります」(菅野慈雲・宗会議員)等と。
私はこれらの諛言・誑言を見るたびに、肚の底から熱き憤りが込み上げてくる。どうしたらこのような偽りが言えるのか。大聖人様に対し奉る不忠・叛逆、これに過ぎたるはない。
大聖人一期の御遺命を破壊する大罪は、まさに御本仏の眼(まなこ)を抉(くじ)るに当る。この大罪をなした主犯は池田大作。そして共犯は、細井日達・阿部日顕等の宗門高僧であった。
正系門下がこのように仏法を曲げて、日本が傾かぬはずがない。
果せる哉(かな)――。偽戒壇・正本堂が完成した昭和四十七年こそ、日本亡国の扉が開く年となった。
すなわち、この年に日中国交が樹立され、これを機に、日本から莫大なる資金がODA等の名目で中国に流れ、それがいま核ミサイルとなって、日本の死命を制しているのだ。
またこの年から、中国は本格的な対日工作を開始した。この工作の目的は、「日本解放第二期工作要綱」に明示されているように、日本を中国共産党の支配下に置くところにある。この魔手は、すでに日本の各政党・政治家、そして民間に広くおよび、日本は確実に侵蝕されつつある。
政権与党を牛耳る小沢一郎幹事長の朝貢にも似た大訪中団といい、習近平・中国副主席の「天皇会見」の強要といい、諸外国はすでに、日本が中国の属国になったとの印象すら懐いている。
また小沢一郎幹事長は、北京の帰途にソウルで講演し、外国人参政権を本年一月からの通常国会に提案すると公約した。この法案は、「公務員の選定・罷免は、国民固有の権利」と定めている憲法第十五条に明白に違反しているが、民主・公明・社民の各党が大賛成であり、また自民党員も多数が賛成だから、成立するものと思われる。
この法案は一見、在日韓国人の地位改善問題のごとくに見えるが、内実は中国人移民に結びつく重大さを孕んでいる。在日中国人は平成二十年末で六十五万五千人で、二位の在日韓国人に大きな差をつけ、しかも一年で五万人以上も増殖しつつあるのだ。
さらに自民党内にも、「移民一千万人受け入れ」を提唱する議員連盟がある。この「移民」が、中国人を念頭においたものであることは論を俟(ま)たない。議連会長は中川秀直元幹事長である。
この政策と、民主党が推進する外国人参政権付与が、中国という接点で結びついていることが、不気味なのである。
在日中国人は一旦ことあらば、中国大使館の指令のもと、統一して戦う軍団となる可能性がある。
その事例は、平成二十年四月二十六日、北京オリンピックのトーチリレーが長野市を通過した際の、沿道一帯に起きた異様な光景に見られる。この日、中国大使館が司令塔となり、動員された中国人留学生数千人が、巨大な五星紅旗を掲げて長野市の沿道を占拠したのである。そのさまは治外法権のごとくで、まさに日本の国家主権が蹂躙された一日であった。わずか数千人でも、かかる事態が起こるのだ。いわんや数十万・数百万人の軍団化においておやである。
他国侵逼の前には、必ず自界叛逆が起こる。広布前夜の自界叛逆は、日本国内の大勢力となった親中派と、民族意識にめざめた保守派の激突によってもたらされよう。
この自界叛逆に、もし、中国大使館の指令で動く数十万・数百万の中国人移民が加わったら、その災厄は想像を絶しよう。そして、この「無血占領」が成功しなければ、その時、いよいよ恐るべき軍事的侵略が起こるのである。
この亡国から日本を救うの法は、日蓮大聖人が留め置き給うた三大秘法以外にはない。大聖人様は日本国亡びんとするとき、必ず広宣流布をあそばす。その御予言こそ「ただをかせ給へ。梵天・帝釈等の御計いとして、日本国一時に信ずる事あるべし」の仰せである。
この大事をお手伝い申し上げるのは、御遺命を守護し奉った顕正会以外にはあるべくもない。
「あと十二年」――。
顕正会は一結して、御本仏の待たせ給う大法戦場に馳せ参じなくてはならぬ。御遺命成就の時に生まれ合わせて大事の御奉公が叶うこと、顕正会員は何たる果報であろうか。
さあ、共に励まし、歓喜の大行進を加速しようではないか。
平成二十二年元旦