年頭の辞
国難四年
冨士大石寺顕正会 会長 淺井昭衞
日蓮大聖人は広宣流布について撰時抄に「
其の時、天変地夭盛んなるべし。乃至、前代未聞の大闘諍一閻浮提に起こ るべし」と。
御文の意は、大慈大悲の御本仏に国中が背くとき、仏法守護の諸天善神はまず天変地夭を以てその国を諫める。だがこの諫めを用いずになお迫害を続けるならば、諸天は前代未聞の大闘諍を地球規模で起こす。このとき国亡び身を失う恐怖から、人々は始めて御本仏の大恩徳を知り、一同に掌を合わせて南無妙法蓮華経と唱え奉るに至る ―― ということである。
この「天変地夭」と「前代未聞の大闘諍」は大聖人の御在世に起きており、また未来順縁広布の時にも起こる。
御在世の「天変地夭」は正嘉元年の大地震と文永元年の大彗星であり、「前代未聞の大闘諍」は大蒙古による二度の侵略であった。
当時の大蒙古は、ユーラシア大陸のほぼ全域を攻略・支配した空前絶後の大帝国であった。日蓮大聖人御出現と同時にかかる大帝国が隣国に勃興し、諸天の命ずるままに日本を責めたこと、まことに不思議である。
大聖人はこの大現証について「
日蓮は一閻浮提第一の聖人なり。上一人より下万民に至るまで、之を軽毀し、刀杖を加え、流罪に処するが故に、梵と釈と日月・四天、隣国に仰せ付けて之を責するなり」(聖人知三世事)と仰せられている。
日本一同はこの大蒙古の侵略を見て怯え、大恐怖の中に、改悔とともに日蓮大聖人の御名と南無妙法蓮華経を命に刻み、未来に仏に成るべき種を下して頂いた。
これが大聖人御在世の逆縁広宣流布である。
そして、日本一同が南無妙法蓮華経と唱え奉る順縁広布の時も、「天変地夭」と「前代未聞の大闘諍」が必ず起こる。
天変地夭は、日本観測史上最大といわれた平成二三年の東日本大地震と、震度7が連発した昨年四月の熊本大地震がすでに発生し、首都圏直下・南海トラフ大地震も足下に迫りつつある。
また「前代未聞の大闘諍」は、第一次世界大戦でもなければ第二次世界大戦でもない。それはまさしく、いま始まらんとしている第三次世界大戦である。
この第三次世界大戦こそ、人類史上始めて相互に核兵器を使用する大戦争であり、人類滅亡をも招く最終戦争となる。これこそ大聖人が御予言あそばされた「前代未聞の大闘諍」である。
いま世界は、この大闘諍の入口に立っている。
習近平の中国は「
二〇二〇年代にアジアから米国勢力を駆逐し、大中華帝国を築く」との国家目標のまま、南シナ海に強固な軍事基地を築き、先月二五日には、 中国初の空母「遼寧」を沖縄本島と宮古島の間を通らせ太平洋へと向わせている。さらに中国の一部の学者は、「
二〇一一年にも台湾に軍事侵攻する」との予測まで公表している。
プーチンのロシアは、二〇一四年にウクライナに侵攻してクリミア半島を奪取して以来、アメリカとの関係は最悪になっている。
昨年七月、アメリカは「
ロシアの侵略に備える」との名目で、NATO(北大西洋条約機構)を使ってバ ルト三国とポーランドに大軍を集結させた。これに対し、ロシアも核弾頭搭載可能な弾道ミサイルを、ポー ランドとリトアニアに隣接するカリーニングラードに配備した。まさに一触即発である。
そのうえ、プーチンがトランプ候補が有利になるようにとサイバー攻撃を通じて米国大統領選に干渉したとして、オバマ大統領は「プーチンの指示」と断定した。いま米・ロの反感は極度に高まっている。
トランプ・アメリカ次期大統領は不羈奔放、その行動は全く予測不能である。
かくて核兵器で満ちた世界は、トランプ、習近平、プーチンの角逐によりいよいよ混濁し、相互の疑心暗鬼から、ついに恐るべき「前代未聞の大闘諍」に陥る。
もし大闘諍が始まれば、その悲惨は新尼抄の「
諸人皆死して無間地獄に堕ること、雨のごとくしげからん時」との仰せのままとなろう。
この大惨禍は「
諸仏・諸菩薩・諸大善神等」も救えない。いわんや国連や政治家等の力の及ぶところでない。
お救い下さるのは、諸天に申し付ける絶大威徳まします、御本仏日蓮大聖人ただ御一人であられる。
ゆえに大聖人様は「
日蓮によりて日本国の有無はあるべし」(下種本仏成道御書)と仰せあそばす。
さらに減劫御書には「
大悪は大善の来たるべき瑞相なり。一閻浮提うちみだすならば閻浮提内広令流布はよも疑い候わじ」。
もし世界が大動乱に陥るならば、その大悪こそ、世界広宣流布の瑞相である ―― と。
日本は日蓮大聖人の本国であり、三大秘法広宣流布の根本の妙国である。ゆえに世界広布の前に日本の広宣流布が必ず成る。されば「
一閻浮提うちみだす」ことこそ、日本の広宣流布の大瑞である。
さあ
国難四年、いよいよ柔和質直・不惜身命の信心に立ち、師子王のごとく猛進し、何としても大聖人様に応え奉ろうではないか。
平成二九年 元旦