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顕正新聞 平成十三年六月十五日号
中国軍 台湾海峡で大規模演習
十万人規模、台湾上陸を想定
中国人民解放軍が台湾海峡を望む福建省南部の東山島付近で、台湾への上陸を想定した陸海空三軍と戦略ミサイル部隊による大規模な総合上陸演習を、六月四日から開始した。
「解放一号」と名付けられた今回の演習について、中国外務省報道官は六月五日の定例記者会見で、「例年行われる通常の訓練である」と述べたが、中国系香港紙「文匯報」によれば、演習は台湾支援の姿勢を明確にしつつあるブッシュ米政権に対して「台湾独立と米国の軍事介入を阻止する強い決意を示す」ものと位置付けている。
また同紙は演習参加人員を「十万人」とし、演習が台湾本島上陸を想定しているとの「軍事専門家の認識」も紹介、「スホイ27」戦闘機や弾道ミサイルほか、超音速対艦ミサイルを搭載したソブレメンヌイ級駆逐艦など、海空軍最新鋭兵器を駆使した上陸作戦が実施されるとしている。
一方、在日米海軍筋は今回の軍事演習について、ミサイル、水陸両用戦車、潜水艦や戦闘機などが演習に使用され、台湾上陸とともに、台湾近海への展開が予想される米空母機動部隊を撃滅するシナリオ等、大規模な演習になると指摘している。
また同筋によれば、今回の上陸演習では中国軍が掲げる最大目標は台湾海峡における制空権の奪取で、ロシア製対地ミサイル「KH−59M」(射程百十五キロ)を搭載して高い対地攻撃能力を保持する最新鋭戦闘爆撃機「スホイ30」が、スホイ27戦闘機と連携し、遠距離から敵の地上部隊を掃討印する作戦など、制空権とともに上陸部隊の作戦展開を確保するという。スホイ30は昨年末の配備以降、水上目標攻撃訓練や対地攻撃訓練を展開してきたとされる。
東山島は台湾海峡を挟んで台湾・高雄市まで約二百キロの至近距離に位置する台湾への軍事攻略を念頭に置いた中国軍の演習拠点であるが、平成八年三月の台湾総統選の時も大規模な実弾演習が行われた。
このときはミサイル演習に続く上陸演習で、対する米軍は二空母機動部隊を台湾近海に展開し台湾海峡危機を招いたが、今回の演習はこれを上回る規模の上陸演習になると見られている。
中国軍指導者は台湾問題に関して最近、「分裂を図る、いかなるたくらみも粉砕する固い決意と必要な準備がある」(張万年・共産党中央軍事委員会副主席)等と強調しており、これを米台に形で示すのが今回の軍事演習といえよう。
また米国防総省の発表によれば、このところ中国は台湾を照準に収める弾道ミサイルを台湾対岸に急ピッチで配備増強しているという。台湾侵攻をめざし着々と軍備を整える中国の動向からは目が離せない。
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