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顕正新聞 平成十三年七月十五日・二十五日合併号

中国の軍事力増強を強く警戒
     平成十三年版「防衛白書」
  
国防費、十三年連続で10%以上の伸び

 このほど平成十三年版の防衛白書「日本の防衛」が公表された。

 同白書は、中国の国防費が高い伸び率を続けていることを挙げ、同国が近年、核・ミサイル戦力や海・空軍力の近代化を推進していることに強い警戒感を示したほか、初めて中国と台湾の軍事力を比較・分析し、この地域の不安定さが一段と増す可能性に言及している。
 
 一方、新たにアジア太平洋地域の長期的な軍事情勢も取り上げ、米国と中国・ロシアの両極間で対立する可能性も指摘している。
 本年の防衛白書は国際軍事情勢について例年よりページ数を割いており、なかでも中国の記述は昨年版より三ページ増えて十二ページにわたって分析が加えられている。

 中国の国防費は十三年連続で十%以上伸び、今年度はここ六年で最高の十七%増と、同国が陸海空三軍の近代化を急テンポで進めていると分析。ことに中国側が「ハイテク化への対応」を初めて公式に認めたことを挙げて、同国が「ハイテク条件下の局地戦」の対応能力向上を最大の課題とし、技術革新の取り込みに力を入れている実態を詳述している。

 また、これまで「若干基保有する」とあいまいだった中国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)について、「約二十基保有」と初めて数を明示。さらに、日本を射程に収める中距離弾道ミサイルの保有数については前年の白書では約七十基だったが、今回は約百基とし、新型ミサイルへの転換も進みつつあるとしている。
 そのほか短距離弾道ミサイルも保有し、台湾対岸での配備数が増加されていることも指摘している。

 海上戦力については、ロシアから大型駆逐艦を導入するなど装備の近代化を進めていることと、海軍艦艇の日本近海での活動の活発化に触れたうえで、「沿岸海域を防衛する海軍から、沿岸地域より遠方の近海を防衛する海軍への移行を図っていると考えられる」としている。

 白書は、これらの点を指摘したうえで、「近代化の目標が、中国の防衛に必要な範囲を超えるものではないのか慎重に判断されるべきであり、このような動向について今後とも注目していく必要がある」として、中国の軍事力増強に警戒感を示している。

 このほか台湾との軍事力の比較にも初めて言及し、

 1) 陸軍力は中国が圧倒的な兵力を有しているが、台湾本島への着上陸侵攻能力は限定的
 2) 海・空軍力は中国が量的には圧倒しているが、質的には台湾が優位
 3) 中国は台湾を射程に収める短距離弾道ミサイルを保有

 --- と分析している。

 またアジア太平洋地域の軍事情勢については、「米国を中心とするグループと、(中国、ロシアなど)多極化した世界を目指すグループとの利害の対立が顕在化していくであろう」と予測している。

 これまで、中国を刺激しないようにとの日本政府の弱腰外交から、中国に関する防衛白書の記述は質量ともに不十分だったが、今回、初めて防衛庁が中国の軍事力増強に警戒感を表わしたことは、軍事超大国・中国の脅威が誰の目にも明らかとなってきたことを示すものとして、注目すべきである。



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