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   三大秘法抄拝読

 
時を待つべき耳

 次に
時を待つべき耳(のみ)とは、此の戒壇建立は、時の来るのを待てとの御意であります。

 悪世に於ては悪法の流布は熾んでありますが、正法の流布は容易ではありません。既に大聖人は諸宗を破折し世を教化遊ばされ玉ひしも、迫害は重畳し遂に戒壇を建立し玉ふ迄にいたることができなかつたのであります。

 「
日本国の中に、但一人南無妙法蓮華経と唱えたり。これは須弥山の始の一塵、大海の始の一露なり。二人三人十人百人・一国二国六十六箇国、已に島二にも及びぬらん。今は謗ぜし人人も、唱へ給うらん。
 又・上一人より下万民に至るまで、法華経の神力品の如く一同に、南無妙法蓮華経と唱へ給ふ事もやあらんずらん。木はしづかならんと思へども風やまず、春を留んと思へども夏となる。日本国の人人は法華経は尊とけれども、日蓮房が悪ければ南無妙法蓮華経とは唱えまじとことはり給ふとも、今一度も二度も大蒙古国より押し寄せて壹岐対馬の様に男をば打ち死し・女をば押し取り、京鎌倉に打ち入りて国主並びに大臣百官等を搦め取り、牛馬の前にけたてつよく責めん時は、争か南無妙法蓮華経と唱へざるべき
」(妙密上人御消息)

 以て大聖人の御意を拝し奉るべきであります。現今の世情を見、社会の動勢を考ふる時、いよいよその時の到来が近く感ぜられるのであります。大聖人の弟子信徒たるもの、大いに努めねばならないところであります。



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