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    法華本門思想通要

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本門戒壇とは聖人の仏法の中心道場

 一般にいう佐渡始顕の本尊、護国の曼茶羅等は建立の因縁があまり具備されず、付属の意も明らかではないとして、富士流においては聖人が日興上人へ相伝せられた戒壇の本尊を以て滅後の一切衆生の信行の中心とするのである。

 聖人は三大秘法妙に
戒壇とは特定の場所であり、聖人の仏法の中心道場であると説かれている。日興上人への御付属状とせられている一期弘法抄には、この場所は「富士山」であるとの指定があることにより、本門戒壇とは聖人の仏法の中心道場で富士山であるとされている。

 一般には戒壇とは、授戒の場所を意味している。仏法に帰依して修行するものは、定められたる戒律の実行を仏に誓約するのであるが、その作法を行う場所を特定し、その形も仏法の儀によって造られるのである。

 戒壇の起源は印度では楼至菩薩の祇園精舎外院の東南に設けられたのを始めとして、支邦南宋の文帝の時代に於ける求郡跋摩の南林寺の戒壇等、日本では聖武天皇の御代、奈良東大寺に鑑真和尚が之を始めて設け後に渟仁天皇の時、筑前の観世音寺、下野薬師寺等に設けられ、渟和天皇の御代に比叡山延暦寺に戒壇を建立したが、皆此の戒壇に於て戒律を受持することを誓約したのである。

 そして戒律に小乗戒・大乗戒あり、戒壇に小乗戒壇・大乗戒壇を区別するも、すべて戒壇と戒法は別々のものと見ているのである。



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