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    富士門徒の沿革と教義

   (
直に国立戒壇を説く所は富士門徒
       --- 文底秘沈抄 ---

 台家では十界三千・万法常住の躰を以て自受用身とするが、当家では文底・南無妙法蓮華経の本法を説く仏の発見に依って、素法身に近い台家の「自受用身」を、現実に生きて働く自受用身たる凡夫身の仏として取上げ直したのだ。

 その仏が人の本尊であるから、「
久遠元初・自受用身ハ、全ク是レ一念三千ナル故ニ、事ノ一念三千ノ本尊ト名ク也、秘可々々」(文底秘沈抄)と断じて、法仏一体の本尊を述成して、次の戒壇篇を起す。

 戒壇は通途に論ぜられる事理両壇の立分けを略して、
直に国立戒壇を説く所は富士門徒らしい行き方だ。

 そして
事壇建立の在所は富士であるべき事を、

   一に 日本第一の名山なるが故に
   二に 王城の鬼門に当るが故に、
   三に 又の名を大日蓮華山と言ふが故に、

の三箇の理証と、本門寺額、身延相承、門徒存知、本因妙口決の文証に依って論じ、身延の御廟中心説を以て砕身の舎利なりと下し、本門戒壇本尊と末法総貫首の在所なるが故に、
富士を本山と仰ぐべしと結する。



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