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創価学会の宮本議長宅電話盗聴事件判決
第三 証拠
六 北條の本件電話盗聴への関与について
7 当時学会が置かれていた状況下で、北條が本件電話盗聴を企図し、実行するということがあり得たかどうかについて
(一) 前記三で認定した本件電話盗聴当時の政治的、社会的情勢からすれば、学会の最高首脳の一人である北條が、発覚したときは窮地に陥ることが明かな本件電話盗聴を積極的に計画し、被告山崎に指示して実行させたものとは考えられない。
(二) しかしながら、他方、前記三で認定したとおり、学会、公明党は、言論出版妨害問題をめぐる各界の批判を受けている最中でも、組織を挙げて共産党に対する反撃を継続しており、昭和四五年三月一三日の矢野書記長談話も強気のものであった。
池田講演によって明らかにされた学会、公明党の方針も、その後の共産党の対応如何によっては変更され得るものであったということができるし、当時、学会としては、基本的には、共産党とは将来再び相互に批判し合うこともあり得るとの認識を持っていたものと認められる。
(三) 以上によれば、学会の最高首脳の一人である北條が、共産党の今後の動向に強い関心を持っていたことば否定し得ないであろうし、被告山崎の進言を受けて、本件電話盗聴をすることを認め、資金の提供をしたとしても、さほど不自然なことではないと言うべきである。
(句読・改行等、便の為に当サイトにて添加)
東京地裁は上記のように、認定した事実に基づいて創価学会の最高首脳の一人である北條副会長(当時)が、「発覚したときは窮地に陥ることが明かな本件電話盗聴を積極的に計画し、被告山崎に指示して実行させたものとは考えられない」としつつ、「本件電話盗聴をすることを認め、資金の提供をしたとしても、さほど不自然なことではないと言うべきである」、との判断を示したことでありました。
さて、<組織>というものは時代と洋の東西を問わず、それが国家組織であれ中央省庁であれ外郭団体であれ、特殊法人であれ公益法人であれ、地方自治体であれ第三セクターであれ、株式会社であれ宗教団体であれ、そこに「私物化」という魔物がひそむこと、でありました。「絶対的権力は絶対的に腐敗する」というテーゼは、いつの時代にも真理であることでありましょう。
宗教組織においては、その権威に対する批判が原理的に許容されないことであれば、内部からのチェックやレビューは機能せず、トップによる「私物化」への歯止めがありません。
そしてその自覚のないこと、ひとり創価学会だけの問題でないことは、言うまでもありません。
(
平成十四年二月十七日、櫻川 記 )
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