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日目上人の御心体し 広布最終段階を戦わん
( 東北代表者会議 )
「御生骨」のこと
さて、きょうは、ここで大事なことを話しておきたい。今まで私はあえて口にしなかったが、いま広布の最終段階を迎えて、時を感ずるゆえに、本日の東北代表者会議において云っておきます。
それは、大石寺に七百年来伝わってきた秘宝「御生骨」(ごしょうこつ)のことであります。
羅什三蔵の故事
仏法には、凡夫の思慮の及ばぬ不思議がある。その一例を挙げます。
皆さんは羅什三蔵のことをよく知っていますね。昨年の合宿のときにも少し話しました。インドから中国に渡った人で、釈尊の教典を梵語(古代インド語)から漢語に正しく翻訳した、ただ一人の人であります。
釈尊の仏法が中国・日本へと流布するとき、教典の翻訳がどれほど重大な意味を持つか。その重要性は計り知れません。
そうでしょう。釈尊の教典というのは、記憶力抜群の阿難尊者が、釈尊の説法のすべてを「如是我聞」(是くの如きを我れ聞きき)として書き留め、これを結集したものです。すべて梵語で書かれており、釈尊の心がそのまま表れている。ところが、それを中国の言葉に翻訳するとき、梵語に通じてない者、あるいは仏法の道理に通じていない者が翻訳すれば、みな間違ってしまう。
そして多くの訳経の中で、どれが正しく、どれが間違っているかは一般の人にはわからない。わからないまま、もし間違った教典を受持・読誦したら、功徳はない。大聖人様は「得道もあるべからす」とまで仰せられている。だから正しく翻訳することに、中国・日本の人々の成仏がかかっている。それほど大事なことなのです。
この重大使命を担って出現した人が、この羅什三蔵だったのです。
さて、羅什三蔵が中国における多くの訳経を見るに、皆ことごとく釈尊の意に違っている。そこで羅什は、自分の訳した経だけが仏意に叶うものであることを、何とかして人々に解らせたいと、一つの現象を示したのです。
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