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国立戒壇論の誤りについて
三、三国の戒壇建立の歴史について
( 戒とは防非止悪の義 )
次に仏教上の戒壇の歴史について一覧する。
戒とは防非止悪の義で、五戒、八斎戒、十戒、四十八軽戒、二百五十戒、五百戒等、大小乗を通じ、在家出家それぞれにたもつべき詳細が定められている。要は、「諸悪莫作、衆善奉行、自浄其意、是諸仏教」の四句偈をもってその根本精神とするのである。
壇とは土を盛り上げて特別に高く作られた受戒の場所を云う。
始め仏陀の制戒は対象により時と処を問わず行なわれたから、市中山林至るところが戒壇であって、特別に壇の設置はなかった。それが戒相として次第に整足されるようになって場所を定め、壇を設けて受戒が行なわれたのである。
唐僧道宣の戒壇図経によると、壇場を明すことも、もとは仏であるとし、昔は光明如来が初めて建立を説く故に人の謀りごとではないと断わっている。仏法の最高最大なる本門の戒壇も、この根本に照らすとき、仏意による建立と拝すベきてあろう。
さらに、日淳師による戒の意義についての説法を、拝聴しておきましょう。
「仏法に帰依し仏弟子となるには此の戒を受け、その実行を誓ふのが授戒の作法であります。此れには自分が直接誓ふ自誓受戒と、他の人を中間に於て誓ふ他誓受戒とがあります」、「小乗戒は自己の悪を止むるに主眼ををき、大乗戒は進んで仏を期するを主眼とするのであります」(「三大秘法抄拝読」)と。
( 平成十五年一月六日、櫻川
記 )
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