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    国立戒壇論の誤りについて

 
三、三国の戒壇建立の歴史について

  (
事相為る故に一重大難之れ有るか

 これより後淳和帝の天長四年(AD八二七)始めて勅を奉じて座主義真が円頓の戒壇院を叡山に建立したのである。
 けだし宗祖大聖人が土木殿御返事(全九六三)に 「
伝教大師の御本意の円宗を日本に弘めんとす、但し定慧は存生に之を弘め円戒は死後に之を顕す。事相為る故に一重大難之れ有るか」と仰せられたのも、迹門戒壇の難事をもって本門に例されたものであろう。

 このように三国にわたる戒壇建立の史実を見てくると、夫々の時代と実情による特殊性があり、一様でないことが明らかである。そして時代が下るに従って難の多いことも、大聖人の右の御金言に対して看取されよう。
 天平勝宝にあっては国主の信篤く、妨害者もなく師檀一致して戒壇を建立した。これに対し叡山の天長年間の戒壇は南都の様々の抵抗を漸く斥けることをえて義真が奉勅して建立したのである。

 已上三国の仏法流伝における戒壇建立は、個別的と全体的、小規模と大規模、僧侶の建立と国王の建立、勅詔の有無等その実情はまことに多岐であって一定しない。茲に注意すべきは、国王が造られた例であったとしてもそれは国で造ったというより、国王の信仰によって国王個人が造立したのである。

 以上のことからも、末法本門の戒壇が国立という名称を付さねばならぬ理由はない。大聖人の仏法は日本一国のみでなく、全世界の民衆救済のため伝道すべき大法である。
 これに対し世間の法制制度、政情等の有為転変は無量であって、国立戒壇に執われることはかかる問題にみずから制約を作ることとなる。そのような考え方こそ大法流布の妨げとなるものであることを述べて、三国戒壇の略見を終る。



 「迹門戒壇の難事をもって本門に例されたものであろう」とは、まさしくその通りでありました。しかるにその「本門の戒壇」が国立戒壇でなく、“私”に一宗門で一団体で建立してよしとするならば、そのときに「一重大難」など、あるべくはずもありません。
 国中の諸宗と邪正を決し、一国同帰の帰結として「本門の戒壇」を公に国家的に建立せよとの厳しい条件を付すればこその「難事」なのであって、さればこそ大聖人は「一重大難を前提されたのでした。

 阿部教学部長はこうして「已上三国の仏法流伝における戒壇建立は、個別的と全体的、小規模と大規模、僧侶の建立と国王の建立、勅詔の有無等その実情はまことに多岐であって一定しない」と述べて、日本国の仏法流伝における戒壇建立は一つの例外もなく“勅立・国立の戒壇”であったことを、自らは百も承知の上でひたすら隠し通します。

 また、「末法本門の戒壇が国立という名称を付さねばならぬ理由はない」などとは、論理のスリ替えによる国立戒壇否定の詭弁でありました。“末法本門の戒壇”の名称は、大聖人が御遺命された通りの「富士山本門寺の戒壇」であって、なにもそこに国立という名称を付する必要はありません。
 すでに見たように、南都・唐招提寺の戒壇も下野・薬師寺の戒壇も筑紫・観世音寺の戒壇も北嶺・延暦寺の戒壇も、ことごとく“私立”でも“民衆立”でもなく“国立戒壇”なのであって、その名称にあえて国立を冠するまでもないことでした。阿部教学部長のこうした姑息な論理のスリ替えでは、まったく国立戒壇否定の論理たり得ていないことは自明でしょう。

 さらに阿部教学部長の、無道心の言明が続きます。「国立戒壇に執われることはかかる問題にみずから制約を作る」とは、これこそ愚かしいにも程がある・無慚無愧の云いようでありました。その厳しい”制約”を、みずから設けられたのは誰人であったのだろうか、ほかならぬ宗祖・日蓮大聖人でありました。
 「
王法仏法に冥じ仏法王法に合し」という厳しい制約、「王臣一同に本門の三大秘密の法を持ち」という厳しい制約、「勅宣並びに御教書を申し下し」という厳しい制約、そうした制約条件が整うまでは「時を待つべきのみ」という重ねての厳し制約

 大聖人が明確に課された、“末法本門の戒壇”におけるかくも厳しい制約をして、阿部教学部長は「みずから制約を作ることとなる。そのような考え方こそ大法流布の妨げとなる」と、きっぱりとのたまわったのでありました。
 しかしてこれらは、未だほんの序分。以後、阿部教学部長は「国立戒壇論の誤りについてにおいて、かかる大聖人の厳しい制約に対し誑惑に誑惑を重ねては、否定・韜晦・歪曲にこれつとめるのでした。


                          ( 平成十五年一月二十一日、櫻川 記 )


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