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     大事なときの叫びこそ真の雄弁

 私の話には点数も賞品もないのです。ひとつ気楽に聞いていただきたい。

 日本の国にも、ずいぶんたくさん雄弁家はおります。選挙のときや、国会議事堂では、すごい雄弁です。しかし、彼らにほんとうの雄弁があるならば、自分の党派ぐらいまとめてみればよいのに、それすらできない。りっぱなことをいっているが、ぜんぶ
見栄か、自分自身を偉そうにみせるためであり、真に人のための正義感ではないのです。

 真実の雄弁には、あくまでも正義感と、信念と、そして哲理を含んでいなけれぼなりません。もうひとつ大事なことは慈悲です。慈悲なくば、なにごとも、率いることも、救うこともできないのです。(略)

 三、四年前、立正佼成会の庭野日敬が
国会に召喚されて、いろいろ調べられたことがある。このとき会長先生はニッコリ笑って『こっちへくれば、ちょうどいいな。このときこそ立正安国論を叫びたい』と、申しておられました。
 
大事なときに叫ぶことこそ、私はほんとうの雄弁ではないかと思うのです。

 (略)
                                   (当時、総務)
                                    昭和三十四年十月十五日
                                    学生部第一回弁論大会


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 学生部の第一回弁論大会の席上、池田総務は「大事なときの叫びこそ真の雄弁」と、得々と語ったことでありました。
 
 日蓮大聖人が執権・北条時宗に送った書状には、「
今日本国・既に蒙古国に奪われんとす、豈歎かざらんや豈驚かざらんや、日蓮が申す事御用い無くんば定めて後悔之有る可し、 (略)此の由・方方へ之を驚かし奉る、一所に集めて御評議有つて御報に予かる可く候、所詮は万祈を抛つて諸宗を御前に召し合せ仏法の邪正を決し給え」(北条時宗への御状)と。
 戸田会長にあっては、もしその機会あれば国会の証人席において、いかなる来難をも覚悟して「
立正安国論を叫」ぶ信念があったのでありましょう。

 しかして側近ナンバーワンであった藤原氏の告発によれば、池田総務はこの二年前の昭和三十二年の参議院選挙で、悪質な戸別訪問が露見して大阪府警に逮捕され、「
警察権力などおそれるな」と部下に檄を飛ばしていたその本人が、警察の取り調べ室では係り官の前にひとたまりもなく屈服させられたのでした。しかもこの屈辱的な体験から、彼は「極端なまでに国家権力に怯える男となった」、とのことでした。

 そして後に、今度は池田会長自身の
国会証人喚問要求が出された昭和四十五年の「言論弾圧問題」において、自ら三度まで判断ミス・失態を重ねて混迷を招き、その尻拭いに公明党の衆参両院の七十人近い国会議員を総動員、国会証人喚問回避のために各党幹部への懐柔・モミ消し工作を命じ、あわて・うろたえ・パニック状態となって創価学会・箱根研修所へ逃避行を図り、その山の中に身を隠していたのでありました。
 佐渡御書の 「
おごる者は必ず強敵に値いておそるる心出来するなり。例せば修羅のおごり、帝釈にせめられて、無熱池の蓮の中に小身となって隠れしが如し」を、現代においてまさに彷彿とさせるエピソード、と云うべきでありましょう。

 大事なときの叫びこそ真の雄弁」などと、
「見栄」と「自身を偉そうにみせ」て格好をつけるのならば、後には必ずそのメッキ・偽りは指摘され・剥がされることでありましょう。

                            ( 平成十三年十二月十九日、櫻川 記 )


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